その気になる症状、
歯周病かもしれません
最近口臭がするようになった、歯ブラシをするときに歯肉から血が出るなどの症状がある方はいらっしゃいませんか。
それはもしかしたら歯周病かもしれません。
歯周病は30代以上になると好発することが多いお口の病気です。
日本人の3人に2人がかかっているともいわれ、国民病とも呼ばれています。
初期の段階の歯周病には、痛みなどの自覚症状がほとんどありません。
歯周病は歯槽骨の吸収が起こる病気ですが、その気付きにくい性質から、気がついたときには支えとなる歯槽骨がなくなり、歯が抜け落ちてしまうというケースもあります。
このように、歯周病は虫歯と並んで歯の喪失二大喪失原因のうちの1つです。
いつまでも自分の歯で健康的に過ごせるよう歯を残せるように、歯周病の原因や特徴を把握しておきましょう。
こちらのページでは、歯周病の内容についてご紹介しています。
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目次
こんなお悩みありませんか?
- 歯肉から血が出る
- 歯が伸びてきた気がする
- 最近口臭が気になる
- 歯周病を予防したい
- 歯周病の特徴が知りたい
- 歯周病の予防方法が知りたい
歯周病の特徴・原因
歯周病は発生初期は、気付いたときには症状が進行していることが多くあります。
どんな症状が現れ始めたら危険なサインなのかを把握するためにも症状の特徴を理解し、セルフケアで正しく予防するために原因も正しく認識しておくことが大切です。
歯周病の特徴
歯周病は、気付かないうちに症状が重症化していることが多いことから「サイレントキラー」とも呼ばれます。
経過によってみられる症状は異なりますが、出血や歯が浮くような感じなどは代表的な歯周病の症状です。
●徐々に進行する
歯周病はある日突然重くなることはありません。
出血などの軽い症状から始まり、徐々に症状が重くなっていきます。
軽い段階ではなかなか気付くことができず、気が付いたら中等度以上になっていて、ときには歯が抜け落ちるような重度の段階まで至ってしまうこともあります。
しかし気を付けてケアをおこなっていれば、早い段階で気付くことができます。
●P1~P4で表される
歯周病はP1からP4の数字で表されます。
数字が小さいほど症状は軽く、大きいほど重くなります。
●30代以上に好発
20代以下の方が歯周病かかるのはめずらしいといえるでしょう。
一般的な歯周病は30代以上に起こりがちです。
20代以下の早い時期の歯周病は、若年歯周炎といって、それ以上の年齢の方がかかる歯周病よりも早く進行する免疫性の疾患であることが多いです。
●全身疾患を増悪させることがある
歯周病は全身疾患を増悪させることがあります。
脳血管疾患や心疾患の患部付近では、歯周病菌に関連する物質が見つかることもあります。
歯周病の原因
●プラーク中の細菌
歯周病の原因は、プラーク中の細菌です。
プラーク中に含まれる歯周病菌を引き起こす細菌は、嫌気性菌と呼ばれる菌です。
この菌は空気がある環境を嫌います。
そのため、歯周ポケットができると、歯周ポケットの間から歯周組織深くへと進んでいきます。
炎症もそれにともない内部へ進行するため、結果的に歯槽骨の吸収が起こります。
他にも歯周病の原因となる菌はいくつかあり、細菌の量や活動性などによって歯周病の進行度や重症度が変わります。
歯周病を予防するには、まずこの細菌を除去することがとても重要となりますが、歯ブラシがきちんとできていない、細菌同士がしっかりとスクラムを組んでしまい、ブラッシングでは落としにくいというような状況になると、歯周病の増悪につながってしまいます。
また、プラークは排水溝のぬめりと同じで、そこに細菌があり水分があれば必ずついてしまいます。
そのため、日々丁寧に取り除くことがとても重要なのです。
●喫煙
歯周病の原因はプラークですが、増悪させる因子も多くあります。
その増悪因子の中の1つが喫煙です。
喫煙をすると歯肉周辺の血流が阻害され、歯周病が悪化しやすくなります。
また、喫煙には免疫力を下げるという特徴があり、お口の中の免疫機能のバランスが崩れ、歯周病にかかりやすくなるというケースもあります。
歯周病の予防や早期治療には禁煙がベストです。
●免疫機能の低下
体の調子が悪くなると歯肉から出血するという方も多いのではないでしょうか。
歯周病の原因はプラーク中の細菌のため、そこに免疫機能が働いていないと歯周病の進行が早くなってしまう可能性があります。
体調が悪いと歯肉から出血することがあるという方は注意が必要です。
●噛み合わせの問題
歯周病は歯槽骨の吸収をともなう病気です。
噛み合わせが悪く強い力がかかっている部位も、歯槽骨の吸収が起こりやすいという特徴があります。
そのため、噛み合わせが悪い方は歯周病を増悪させてしまう可能性があります。
歯周病と全身疾患の関連性
●脳血管疾患、循環器疾患
歯周病は全身疾患と強い関連性があるといわれています。
歯周病菌があることによって作られるサイトカインという物質は、脳血管や循環器の内部にプラークという脂肪性の沈着物を形成します。
これができると血流が悪くなります。
またこのプラークがはがれ、血液中に流れ出ることで他の部位を詰まらせてしまうケースもあります。
歯周病の方は、そうでない人より1.5倍脳梗塞にかかりやすいというデータもあります。
●糖尿病
糖尿病と歯周病は、片方が悪化するともう片方も悪化するような関係性にあります。
糖尿病とはインスリンの働きが悪くなる病気ですが、歯周病菌があることによって発生する物質が、さらにインスリンの働きを悪くしてしまうということが分かってきました。
反対に糖尿病によって体全体の免疫機能が落ちてしまうと、歯周病の悪化につながります。
●認知症
最近、歯周病と認知症にも深い関係があることが分かってきました。
認知症の発症にはアミロイドβというタンパク質が深く関わっています。
歯周病はこのアミロイドβの蓄積を促進させるという特徴があります。
また、噛むことは脳の刺激になり、認知症の防止になるともいわれています。
歯周病によって歯の本数が減ってしまうと脳への刺激が届きにくくなり、認知症発症の遠因となってしまうケースもあります。
●関節リウマチ
関節リウマチと歯周病の病態はよく似ています。
関節リウマチは自己免疫疾患と呼ばれ、自分の免疫機能が自分自身を攻撃してしまい、骨などに炎症が起こる病気です。
歯周病も炎症で骨が破壊される点などがよく似ています。
少し前まではリウマチの影響で歯周病が悪化するという考え方がありましたが、現在ではお互いに影響し合う形で悪化しているという研究結果も出てきています。
●誤嚥性肺炎
歯周病菌は間接的に血流にのるだけでなく、気管から肺の中に入り炎症を起こすことがあります。
これを誤嚥性肺炎と呼びます。
誤嚥性肺炎は免疫機能が下がった高齢者によくみられる病気で、急激な体温上昇などが起こり、体力を奪われてしまうことがあるため注意が必要です。
歯周病の進行状況
歯周病の進行はP1からP4までの数字で表されます。
P1の段階のみが歯肉炎と呼ばれ、それ以降は歯周炎と呼ばれます。
突然P4に移行してしまうことはないため、歯槽骨の吸収のないP1の段階で気付くことがとても重要となります。
●P1(歯肉炎)
歯肉のみに炎症がある状態です。
出血や歯が浮いた感じなどがありますが、痛みはなく、歯槽骨の吸収もありません。
歯周ポケットは2~3mmで、赤く腫れて見えることもあります。
●P2(軽度歯周炎)
歯肉炎が進行し、歯槽骨の吸収が始まった状態です。
まだ痛みはないことが多いです。
歯周ポケットは3~5mmで、ブラッシングのときに出血がみられることがあります。
歯槽骨の吸収が始まると元には戻りにくいため、歯周炎と呼ばれるこの状態以前に進行を食い止めておくことが大切です。
●P3(中等度歯周炎)
歯槽骨が半分程度吸収された状態です。
歯周ポケットは4~7mmで、赤黒いような色として見えることもあります。
痛みを感じ始めるのはこのあたりからで、出血、動揺、排膿が起こります。
●P4(重度歯周炎)
歯槽骨がほとんど吸収された状態です。
歯周ポケットは6mm以上で、歯根が大きく露出するため、歯が長くのびたように見えます。
P3の症状に加え、歯が脱落することもあります。
歯周病のセルフチェック
歯周病にはいくつかの特徴的な症状があります。
1日一度、次のような症状がないかチェックしてみることをおすすめします。
・歯が浮いたような感じがする、ぐらぐらと揺れる
・歯磨きをするときに歯肉から出血する
・朝、口臭が増した、口臭を指摘された
・最近歯が長く歯が長く伸びてきた
・歯肉が赤く腫れている、またはぶよぶよとした感覚がある
・知覚過敏の症状がある
・膿が出ている
・歯肉に穴のようなものが開いている
さわだデンタルクリニックの
歯周病に対するアプローチ
歯周病はとにかく、予防と早期治療が鍵となります。
早く歯周病を見つけ出すためには、日々丁寧にセルフケアをしながらご自分の口腔内をチェックすると共に、歯科医院の定期検診に通いプロフェッショナルケアを受けることが重要となります。
●スケーリング
スケーリングとは、歯についた歯石やプラークを除去する処置です。
歯石やプラークが付着している場所によって、除去方法が異なります。
・歯肉縁上
歯肉縁上とは、歯と歯茎の境目より上の部分を指します。
超音波スケーラーという超音波を使った器具で、はじき飛ばすようにして取り除きます。
・歯肉縁下
歯肉縁下とは、歯と歯茎の境目より下(歯周ポケット)の隠れた部分を指します。
非常に硬く歯根に付着しているため、手動のスケーラーを使って丁寧に取り除きます。
●ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、歯根についた歯石を除去した後に、表面を滑沢にする処置です。
つるつるの表面ほど歯石やプラークがつきにくいという特徴があるためです。
●PMTC
PMTCとは、専用機器を用いたクリーニングのことです。
スケーリングをおこなった後の歯面は細かな傷がついています。
この細かな傷はプラークが再付着する足掛かりとなってしまうことがあります。
そのため、PMTCで傷ついた歯面をつるつるに仕上げ、プラークの再付着を防ぐことが大切です。
また、ステインやペリクルなどの歯ブラシで落とせない汚れも、PMTCによって落とすことができます。
●ブラッシング指導
歯科医院でのプロフェッショナルケアと同時に大切なのが、ご自宅でのセルフケアです。
正しいブラッシングで正しくプラークを落とすことが、歯周病の予防につながります。
当院では歯科衛生士がブラッシング指導をおこなっています。
歯周病に対するセルフケア・予防
歯周病は、プロフェッショナルケアとセルフケアの両方おこなうことが大切です。
毎日の細かなケアの上に、歯科医院でのプロフェッショナルケアが生きるといってもいいでしょう。
正しく効率の良いセルフケアの方法を覚え、歯周病の予防や早期治療につながるようにしましょう。
ブラッシングが基本です
●効率の良いブラッシング
歯周病な予防や治療に必要なのは、何よりもまず正しいブラッシングです。
とくに歯と歯肉の間をよく磨きましょう。
まず歯ブラシを水平に、歯と歯肉の間の部分に当てます。
そのまま歯肉側に45度ほど歯ブラシを傾け、斜めにします。
この状態で細かく動かすと、歯ブラシの毛先が歯周ポケット内部に入り込みます。
このような磨き方でお口の中全体を磨きましょう。
●清掃補助用具の使用
ブラッシングだけで落とせる汚れは、口腔内の汚れの60%程度といわれています。
これに清掃補助用具が加わると、90%程度に上がります。
清掃補助用具は歯間ブラシ、デンタルフロス、タフトブラシなどさまざまなものがあります。
口腔内の状態に合わせて使用しましょう。
●免疫力を上げる生活習慣
歯周病は細菌によって起こされる疾患です。
そのため、その方の免疫力がとても重要となります。
お口の免疫機能が十分に働くように、規則正しい生活習慣を心がけましょう。
また歯周病にならないためには、唾液の自浄作用がとても大切です。
粘度の低い、状態の良い唾液が多く出るほどお口の中の自浄作用は高まります。
唾液を多く出すためにはよく噛んで食べることや、キシリトールガムなどを噛むことが効果的です。
唾液は緊張すると出にくくなるため、適度にリラックスできる生活を心がけることが重要です。
歯周病に関するQ&A
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とくに痛みや症状がないのに歯科医院に行く必要はありますか?
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歯周病は症状が小さい段階で気付くことが大切です。
歯科医院で定期的にクリーニングし、場合によってはレントゲン撮影で確認することをおすすめします。
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歯周病予防のために免疫力を上げるにはどうしたらいいですか?
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規則正しい食事や睡眠を心がけましょう。またストレスをためないことも重要です。生活の合間に適度な運動を心がけると、免疫力アップにつながります。
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歯周病で歯がぐらぐら揺れています。
でも抜きたくありません。
どうすればいいですか? -
どうしても歯の動揺が強い場合は、歯を抜くことを検討する必要があります。
歯周病がその歯だけにとどまらず、周囲の歯に炎症を広げてしまうと、他の歯まで抜歯の対象になってしまう可能性があるためです。
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3か月に1度定期検診に通うのが難しいです。
どうすればいいですか? -
半年や1年に1度でも、通うことをやめてしまわないことが重要です。
少し間が空いてしまっても、歯科医院でのクリーニングやレントゲン撮影などを通して、歯周病の進行を知りましょう。
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タフトブラシとはどのようなものですか?
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頭の小さな、筆のような歯ブラシです。
タフトブラシは鉛筆の先のように円錐形をしているため、歯の曲面にもぴったりくっついて磨くことができます。
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歯間ブラシは必ず使った方がいいですか?
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使うことをおすすめします。
歯と歯の隙間が少なく、歯間ブラシが入らない方は、デンタルフロスを使用して間を磨いてください。
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自宅でどのようなケアおこなえばいいのか分かりません。
教えてもらえますか? -
お気軽にご相談ください。
丁寧なブラッシング指導をおこなわせていただきます。
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歯周病の予防や治療は、何歳頃からおこなえばいいですか?
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歯周病の好発年齢は30代以降ですが、若い頃から定期検診やクリーニングの習慣をつけておくと、健康な口腔内を保つことができます。
お子様のクリーニングもおこなっていますので、ぜひお越しください。
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歯周病の治療のためには、たばこをやめた方がいいですか?
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喫煙は歯周組織の血流を悪くするだけでなく、歯周病の症状に気付きにくくさせるという特徴もあります。
免疫力の低下にもつながるため、歯周病治療には禁煙がベストです。
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知覚過敏と歯周病はどのような関係があるのですか。
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歯周病で歯槽骨の吸収が起こり、歯肉が下がると歯根が口腔内に露出します。これにより歯根付近がしみて、知覚過敏の症状が起こることがあります。
著者 Writer
- 澤田 光弘
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