細菌によって虫歯が発生する
歯が茶色くなっている、ズキズキ痛むなどの悩みがある方はいらっしゃいませんか。
虫歯は、歯科疾患の中でもとても一般的ですが、それが一体どのようなものなのかきちんと知っている方は少ないのではないでしょうか。
虫歯は歯質が細菌に感染することによって起こります。
進行性の感染性疾患であることが特徴です。
一度かかると自然には治癒しないため、歯科医院で治療を受けなくてはなりません。
日本人の虫歯の保有率は年々下がっていますが、一度虫歯にかかった「処置歯」を持つ方の割合は依然として高いままです。
虫歯はどのように発生し、どのように予防、治療したら良いのでしょうか。
こちらのページでは、虫歯の内容についてご紹介しています。
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目次
こんなお悩みありませんか?
- 茶色い変色が虫歯なのか知りたい
- 冷たいものがしみる
- 何もしないのに歯がずきずき痛む
- 虫歯を予防する方法を知りたい
- フッ素塗布の効果を知りたい
- 虫歯治療で神経を抜きたくない
虫歯の特徴・原因
虫歯とはお口の中の細菌が糖を取り込み、酸を産生し、それによって歯が溶かされて起こる病気です。
いくつかの原因の重なり合うことによって、虫歯は発生、進行します。
突然深い虫歯になることはなく、浅いエナメル質の部分から、徐々に進行していくのが特徴です。
虫歯の特徴
●歯の変色がある
エナメル質まで進行した虫歯は、茶色く着色して見えます。
象牙質まで進行すると歯質に穴が開きますが、その前段階では着色と変わらないように見えることもあるので注意が必要です。
●脱灰と再石灰化
歯が溶けだすことには脱灰と再石灰化と呼ばれる性質が強く影響します。
脱灰とは、歯が酸によって溶かされることをいいます。
このときお口の中は酸性に傾き、酸によってミネラルが唾液中に溶け出した状態になります。
しかし、お口の中が徐々に中性に戻ると、このミネラルは歯の中に戻ります。
これを再石灰化といいます。
お口の中は常にこの脱灰と再石灰化を繰り返しています。
このバランスが崩れると虫歯が起こります。
1日に5回以上の飲食をすると、再石灰化が間に合わず脱灰が進み、虫歯の発生リスクが高まるといわれています。
●歯がしみる
飲み物を口に含んだ際に歯がしみると感じる方は虫歯の可能性があるかもしれません。
虫歯は浅い部分から進行し、徐々に深くなります。
ある日突然大きな虫歯ができることはありません。
浅いうちは冷たいもの、甘いものがしみます。
表面のエナメル質からさらに深くの象牙質に虫歯が進むと、熱いものがしみるようになります。
さらに虫歯が進み神経まで達すると、何もしなくても強い痛みが起こるようになります。
虫歯の原因
虫歯はセルフケアや歯医者でのメンテナンスが十分におこなわれないことで口腔内に菌が滞在してしまい症状を発生させます。
またその虫歯を発生させる要因には次のことが大きく影響するとされています。
●糖質
虫歯は、プラークの中の細菌が糖質(主に砂糖)を食べ、酸を産生することによって起こります。
甘いものを食べると虫歯になりやすいといわれるのはこのためです。
ご飯などの炭水化物にも糖質は含まれるため、完全に糖質のない生活をすることはできません。
ダラダラ食べることや、糖の摂り過ぎに気を付けるなど、細菌が酸を産生しにくいように糖を摂る機会や量を減らすことが大切です。
●細菌
プラーク1mg中に1億個もの細菌が住んでいます。
その中の1つ、ストレプトコッカスミュータンスという菌が虫歯を引き起こす原因として最も有名です。
ストレプトコッカスミュータンスは、プラークの中で糖を食べて酸を産生します。
この酸によって歯が溶かされ、虫歯が発生します。
お口の中にストレプトコッカスミュータンスがどれだけいるかだけではなく、その活動性によっても虫歯ができるか、できないかが変わります。
虫歯を防ぐためには、まずこのストレプトコッカスミュータンスを歯ブラシできちんと落とさなくてはなりません。
●歯質
同じように食事や間食をしているのに、なぜか虫歯になりにくいという方もいらっしゃいます。
これはその方が、歯質がとても強かったり、唾液の再石灰化の機能が優れていたりするためです。
歯を強くする食べ物を摂る、唾液がよく出るように噛む習慣があるなどの方は虫歯になりにくい口腔内環境を手に入れやすいといわれています。
●時間
糖が口腔内にあり、虫歯菌が酸を産生していても、その状態がある程度続かなくては虫歯になることはありません。
虫歯になりやすい口腔内の状態を早く改善するためにも、食後のブラッシングが重要です。
大人と子どもの虫歯の違い
一口に虫歯といっても、大人と子どもでは発生しやすい場所や性質が異なります。
主に次のような特徴があります。
●大人の虫歯
特に虫歯になりやすい場所は3つあります。
歯と歯の間、咬合面、歯の根元です。
大人にも子どもにもこのような特徴がある中で、大人は特に次のような点に注意が必要です。
・根元が虫歯になりやすい
年齢は重ねると歯周病などにより歯槽骨が吸収され、歯肉が下がります。
その結果、普段は口腔内に露出していない歯根の部分が露出し、虫歯になります。
歯根の部分は歯冠部分と違い、エナメル質で覆われておらず、象牙質がむき出しの状態です。
象牙質はエナメル質よりも虫歯になりやすいため、注意が必要です。
・過去の治療した歯の再発
大人は、過去に治療した虫歯の再発にも注意しましょう。
つめものを入れた場所は、時間が経つと歯との間にギャップという隙間ができてきます。
ここにプラークがたまり、虫歯にかかるリスクが上がります。
子どもの頃の方が虫歯の治療痕は少ないため、大人になればなるほどこのリスクは上がると考えられます。
●子どもの虫歯
・大人とくらべて虫歯が進行しやすい
子どもの歯は歯質の厚み、密度ともに大人より低い状態になります。
そのため虫歯になると一気に進行してしまうという特徴があります。
また歯髄腔という神経の部屋の閉める割合が大きいため、虫歯になると神経に達するのが早いという特徴もあるため注意が必要です。
・歯の溝に虫歯ができやすい
子どもの歯は噛み合わせなどの溝が深いのが特徴です。
ここに汚れがたまると歯ブラシでは落としにくく、虫歯は中へ中へと進んでしまいます。
外からは見えにくいため、気付かないうちに大きくなっている可能性もあり、特に注意が必要な場所となります。
虫歯の進行状況
虫歯は虫歯は症状の進行程度によってC0からC4の数値で分けられています。
小さい数字ほど虫歯が浅く、大きくなるほど深い虫歯を表しています。
虫歯は突然大きくなることはなく、初期症状はエナメル質から始まり、進行するにつれて歯の内側の方向へ症状が広がっていきます。
そのため虫歯を小さい状態で見つけると、 健全な歯質を多く残したまま治療を終えることができます。
虫歯には予防、早期発見、早期治療が重要です。
C0(初期虫歯)
エナメル質表面のミネラルが溶け出した、脱灰という状態です。
溶け出した部分が白濁して見えます。
痛み、自覚症状はなく、基本的に治療はおこなわず経過観察となります。
フッ素塗布とブラッシング指導をおこない、再石灰化をうながします。
ご自宅でフッ素入り歯磨きをお使いになっても効果が上がります。
C1(エナメル質の虫歯)
エナメル質に限局した虫歯です。
C0より症状は進み、白濁している、または茶色く変色して見えることがあります。
象牙質までは達していないので、まだ穴はあいていません。
ほとんどの場合痛みはありませんが、冷たいものがしみることがあります。
コンポジットレジン充填という、歯と同じ色のプラスチックをつめる処置をおこないます。
C2(象牙質の虫歯)
象牙質まで達した虫歯です。
C2よりもさらに虫歯は深くなり、象牙質まで広がっている状態です。
黒っぽく変色しているものや、穴が開いているものなど、虫歯だとはっきり分かる状態になります。
冷たいものに加え、熱いもので痛みを感じる方もいらっしゃいます。
象牙質自体は痛みを感じませんが、象牙細管という管で神経とつながっていることにより、痛みを感じます。
虫歯が浅めのものはコンポジットレジン修復、深くなるとインレー修復をおこないます。
C3(神経まで達した虫歯)
神経まで達した虫歯です。
神経が入り込んだ虫歯菌に感染している状態です。
神経が刺激され、何もしなくてもズキズキという強い痛みがあります。
見た目には大きな穴が開いて見えることや、歯冠が崩壊しているなどさまざまです。
また、小さな穴に見えても中で大きく広がっているというケースもあります。
まずは神経を除去し、内部を消毒する処置をおこないます。
神経を抜いた歯はもろくなるため、土台を立てて上にかぶせものをします。
C4(歯根まで達した虫歯)
神経が壊死した虫歯です。
歯冠が崩壊しているもの、歯根だけが残り残根という状態になっているものなどさまざまです。
C4では神経が壊死しているため、基本的に痛みはありません。
しかし根尖という根の先に感染が広がっていると、その部分に膿がたまり痛みが出ることがあります。
抜歯か根管治療の適応です。
根管治療の場合はC3のときと同じ処置になります。
抜歯の場合は、歯を抜いた後その部分に喪失歯を補う何らかの処置をします。
さわだデンタルクリニックの
虫歯に対するアプローチ
虫歯のセルフケア・予防
虫歯はまず予防、早期発見、早期治療が大切です。
また治療後は二次カリエス(治療後の修復物の隙間からなる虫歯)にならないように、その部分のケアをより丁寧にすることが大切です。
歯科医院でのプロフェッショナルケア、セルフケア両方をきちんとおこなうことで、治療後も虫歯の予防が可能になります。
虫歯治療後のセルフケア
●丁寧なブラッシング
虫歯の予防には丁寧なブラッシングがとても重要です。
特に虫歯治療をおこなった後の部分は、より丁寧に磨きましょう。
歯肉に特別な問題がある場合を除き、普通の硬さの歯ブラシを使用すると良いでしょう。
歯ブラシの先を細かく動かすようにし、丁寧に磨きましょう。
●フッ素入り歯磨き粉の使用
歯科医院でもフッ化物の塗布をおこないますが、ご自宅でもフッ素入り歯磨き粉を使用していただくことをおすすめします。
ご自宅で扱えるフッ化物の濃度は歯科医院のものより低いのですが、毎日使うことによってその効果を発揮します。
●清掃補助用具の使用
ブラッシングで落とせる歯の汚れは、全体の60%程度といわれています。
そのため歯間ブラシやデンタルフロス、ワンタフトブラシなどを用いて細かい部分の汚れを落とす必要があります。
清掃補助用具を使うと落とせる汚れは90%程度まで上がります。
残りの10%程度は歯科医院で落とす必要があります。
●二次カリエスに注意
治療後の歯は、天然歯よりも虫歯になりやすい状態です。
つめものやかぶせものとの間に虫歯が再度できてしまわないように、治療後は特に丁寧なブラッシングを心がけましょう。
虫歯に関するQ&A
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歯が茶色くなっています。
これは虫歯でしょうか? -
歯が茶色くなっているからといって虫歯とはいえないケースもあります。
ステインやたばこのヤニなどが付着しているときも茶色く見えることがあります。
虫歯かどうか分からないときは歯科医院を受診しましょう。
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ときどき歯が痛むのですが、すぐに治まります。
治療する必要はありますか? -
冷たいものや甘いものでしみるときは要注意です。
また熱いものがしみるようになってくると、象牙質まで達した深い虫歯があると考えられます。
歯が痛む理由として他に知覚過敏があげられますが、知覚過敏は何か刺激があったときの一過性の痛みのため、刺激がないときの痛みや、長く続く痛みには注意が必要です。
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子どもの虫歯は大人の虫歯とどのような違いがあるのでしょうか?
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子どもの虫歯は大人の虫歯よりとても進行が早く、数か月放置しているとすぐ神経に達するということもあります。
お子様の虫歯は特にお早めにご相談ください。
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唾液が出づらく自浄作用が働きにくいといわれました。
唾液が出やすくする方法はありますか? -
ガムを噛む、食べ物をよく噛むなどの方法で唾液を出やすくすることができます。
また唾液は緊張してしまうと少なくなる傾向にあります。
リラックスを心がけ唾液の出やすい環境を作るようにしましょう。
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子どもに対する虫歯予防はどのようにすればいいですか?
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お子様にも同じように、丁寧なブラッシング、歯間ブラシなどの使用、フッ素入り歯磨き粉の使用などのケアをおこなってあげてください。
噛み合わせの溝や歯と歯の間などが虫歯になりやすいため気を付けて清掃しましょう。
お子様用のフッ化物の濃度は低めですが、定期的に塗布することで効果が上がります。
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間食は1日何回程度におさえればいいですか?
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個人差があるので一概にいえませんが、食事を含め1日5回以上の飲食は避けた方が良いでしょう。
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キリトールガムにはどのような効果があるのですか?
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キシリトールガムには糖アルコールという成分が含まれています。
この糖アルコールは細菌に取り込まれても酸の酸性につながらないという特徴があります。
ガムを噛みたいときはキシリトール入りを選ぶと良いでしょう。
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できるだけ神経を抜かない方が良いといわれているのはどうしてですか?
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神経は歯の中に栄養を行き渡らせ、老廃物を代謝する働きを持っています。
これがなくなることによって、歯は枯れ木が植わっているような状態になってしまいます。
とても割れやすい状態のため、可能であれば神経を残す治療が望まれます。
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二次カリエスはどのように予防すればいいです?
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修復物と歯の間に隙間ができてしまうことが問題のため、まずは丁寧な治療が大切となります。
その後のメンテナンスでは、その隙間に汚れがたまらないようにすることが大切です。
また修復物自体が古くなってしまうとどうしても隙間ができてしまうため、新しい修復物に変える処置が必要なケースもあります。
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歯科医院の定期検診ではどのようなことをするのですか?
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クリーニングと、フッ素塗布、必要であればレントゲン撮影をおこないます。
3か月に1回この機会を設けることで、虫歯の早期発見、早期治療が可能になります。
著者 Writer
- 澤田 光弘
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